住まいを選ぶとき、家賃や利便性はもちろん大事ですが、近年では「災害への強さ」も見逃せないポイントになってきていますよね。
特に東京都のように地震リスクが高い地域では、地盤や建物密集度など、地域ごとの「危険度」にはハッキリ差があることが、行政の公開データからも分かってきています。
そこで今回は、東京都23区の町丁目別に公表されている「建物倒壊危険度」「火災危険度」「総合危険度」のデータをもとに、地名に含まれる“漢字”ごとに、その危険度の傾向を分析してみました。
「水に関する漢字は危ない」といった話はよく耳にしますが、実際にデータで検証するとどうなのでしょうか?
地盤・危険度の出典: 東京都不燃化ポータルサイト 地域危険度一覧表
各町名に含まれる漢字一文字ごとに
順位 | 漢字 | 危険度スコア(平均) |
---|---|---|
1 | 柳 | 3.75 |
2 | 住 | 3.46 |
3 | 蒲 | 3.31 |
4 | 立 | 3.15 |
5 | 千 | 3.04 |
6 | 浅 | 3.03 |
7 | 岩 | 2.97 |
8 | 梅 | 2.95 |
9 | 郷 | 2.93 |
10 | 里 | 2.88 |
「柳」の字は、水辺や湿地に多く見られる樹木を意味します。
そのため、地名に「柳」が入っている場所はかつて河川の氾濫原や低湿地だったエリアが多く、地盤が緩い=地震に弱い傾向があります。
例:柳原(足立区)・市谷柳町(新宿区)など
一見「人が住むから安全」な印象ですが、実際は古くからの住宅密集地であることが多く、火災リスクが高いエリアに頻出します。
例:「千住」がつく地名(荒川区・足立区)など
「蒲」は水辺に生える植物「蒲(がま)」を表し、かつて湿地帯だった場所の象徴。
「蒲田」などが有名で、低地・旧河川域に位置することが多く、地盤も弱めです。
例:「蒲田」がつく地名(大田区)など
「立」は本来「高い」「立っている」などを連想させる文字ですが、地名で使われる場合は古地名や由来不明のケースも多く、必ずしも高台とは限らないのが落とし穴です。
例:「立石」がつく地名(葛飾区)、立花(墨田区)など
古くから使われる「千」の字は、寺社仏閣や地名由来として定着しており、歴史的に開発の早かった都心低地エリアに多い傾向があります。
例:「千住」がつく地名(荒川区・足立区)、千駄木(文京区)など
「浅」は水の浅さを表すことから、浅瀬=河川の広がる地域に多く使われる文字です。
このため、川沿いの低地エリアに多く、地盤が弱く、液状化のリスクも。
例:「浅草」がつく地名(台東区)など
「岩」は一見「固そう=安全そう」に思われがちですが、地名由来では岩場や崖地、かつての丘陵地の裾野を意味するケースが多く、地形の複雑な場所に多いです。
例:「小岩」がつく地名(葛飾区・江戸川区)・岩淵町(北区)など
「梅」は植物由来の美しい漢字ですが、寺社や古い町の名前によく使われるため、都市化が早く、建物の老朽化・密集率が高いエリアに多いという側面も。
例:梅丘(世田谷区)・梅里(杉並区)など
「郷」はかつての農村部・郊外を意味することが多く、都市化の過程で整備が遅れたエリアに見られます。
古くからの集落がそのまま残り、防災インフラが弱いことも。
例:「六郷」がつく地名(大田区)・本郷(文京区)など
「里」も「郷」と同様、かつての農村・小集落を示す漢字。
市街化調整区域や整備の遅い住宅地にあり、道が狭く、密集率が高い場合も。
例:「中里」がつく地名(北区)・「日暮里」がつく地名(荒川区)など
地名に含まれる漢字と地震リスクの相関。
ちょっと意外な漢字もありましたね。
こうしたデータをヒントに、安全で快適な暮らしを選ぶ手助けになれば幸いです。
ここに出てこなかった地名の危険度については、こちら 危険度表 をご覧ください!